『オカルトリック 02 (このライトノベルがすごい! 文庫)』:大間九郎/葛西心のかんそーぶん
@ 『オカルトリック02』:大間九郎/葛西心(ISBN9784800200822)。 このライトノベルがすごい!文庫新刊。 元狐憑きの少年と、少年の姉である美貌の引きこもり安楽椅子探偵、 そして少年に想いを寄せる最凶メンヘラ少女、三人の描くいびつな三角関係が紡ぐ終焉とは。 「ぼくとねえさんのハッピーハッピー・トラッシュショー」めでたしめでたし?
- オカルト探偵を営むねえさん=葛乃葉の助手として働く、 元狐憑きの少年・玉藻は我が儘ヒッキーなねえさんの面倒を見つつ、 とある事件を通して知り合った女子高生イソラからの熱烈なアプローチを適当に流す日々を送っていた。 そんな中、自殺未遂で意識不明となり、 入院中だったイソラの姉・舞花が意識を取り戻し、そして失踪してしまう。 玉藻はイソラに懇願され、彼女と共に舞花の行方を捜すこととなるが…。
シリーズ2冊目にして、完結巻かな。 今回も登場人物が全員信用ならないという部分はそのままに、 より観念的な方向へシフトしたというか 玉藻の内面世界描写が大きな割合を占める形になっています。 このため、起きた事件そのものはほとんど切っ掛けとして物語駆動装置に過ぎず、 焦点となるのは玉藻の過去と 玉藻、葛乃葉ねえさん、イソラたんの三角関係の行き先となります。
イソラさんは相変わらずキレッキレのヤンデレっぷりを発揮しており、 ノーマルな意味での思考回路トレースがまったく役に立ちません。 言われて初めて、ああそういう考え方もあるのかーと妙に納得させられる感じですかね。 もの凄い斜め上感はいっそ清々しさすらあります。 葛乃葉ねえさんに真っ向対抗しようとするその気概だけは買いたいところです。 玉藻くんは…今回は本当に踊らされてただけな感じが。まあ、至るべきところへは至れたようなので よかったんでしょうけれどね。
ラスト。 過去に犯した罪の記憶から罰を望んで生き続ける玉藻と、 そんな彼を優しく見守りながらも、そうであるが故に真実を伝えられない葛乃葉ねえさん、 そしてそんな二人の間に割って入る、愛に生きすぎるイソラたん。 彼らがいったい何を見て、何を選択し、何を失い、何を得るのか。 それは読んでのお楽しみ。
今回で、お話のコアの部分が丸く収まってしまったので続きはちょっと望めないかなぁ。 正直もうちょっとオカルト探偵的な素っ頓狂なエピソードを色々と読みたかっただけに 残念です。イソラたんの毒が強すぎたのかもしれません…。
なお、購入者特典として期間限定公開されている 後日談「オカルトリック02スピンオフ メンヘラバーズ2」は 重ためな本作の解毒剤として、程よい内容で大変楽しかったです。 本巻読了後は是非読むことをオススメします。
■関連情報 | |
タイトル | 『オカルトリック 02 (このライトノベルがすごい! 文庫)』 |
作者 | 大間九郎/葛西心 |
出版社 | 宝島社 |
発売日 | 2012-09-10 |
区分 | 一般 |
カテゴリ | ライトノベル |
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