のうりん (GA文庫)』:白鳥士郎/切符のかんそーぶん

@ 『のうりん』:白鳥士郎/切符(ISBN9784797366907)。GA文庫8月の新刊。 とある農業高校で繰り広げられる一癖も二癖もある連中の農業青春グラフティ1巻目。

県立田茂農林高校に通う畑耕作はちょっぴりアイドルオタクが過ぎる健全な高校生。 今日も幼なじみの方言娘・中沢農(みのり)や博識美形眼鏡の変態くん・過真鳥継らと共に バカ騒ぎ…もとい…爽やかな農業の汗をかく日々を送っていた。 そんなある日、耕作が愛して止まないアイドル「草壁ゆか」の電撃引退が報じられ 耕作は大落胆。だが翌日、耕作たちのクラスにやってきた転入生「木下林檎」は だれがどう見ても「草壁ゆか」本人に違いなく……。 こうして謎を秘めた元アイドルの転校生を交えた耕作たちの日常が始まるのだった。

先月の話題作で気になってはいたものの手が出ておらず、 週末に試し読みPDFを読んだところかなりツボったので購入して読了。

ともかく圧巻なのは1ページに一つは仕込んでるんじゃないかと思われるような 大量のパロディネタですかね。アニメや漫画、ゲームなどを元とするネットジャーゴンの たぐいも大量に仕込まれていて思わずニヤリとさせられること多々という感じです。 下ネタ系も妙に充実しており、どこの姫騎士だよ!!とからめぇはらめぇ!!とか思わずツッコミ 入れながら読み進めざるを得ない状態でした。

お約束のフォントいじりもなかなか効果的に使われていたりしますしね。 あとはイラストとの連携でしょうか。通常1ページイラストが主となるラノベのイラストで 半ページずつの見開きだとか、半ページで見開きの左右外側のみとか なかなか目新しい形でのイラスト配置がされていたりするのが面白いところ。 あとは完全に地の文と融合しているのも面白いところですかね。

とまあ、そういう飛び道具的なネタをただ並べただけならば正直そんなに好みでもないのですが 本作の場合、縦軸として「農業高校の日々」というものがしっかり存在しているのが面白いところです。 1年間実際に農業高校などで取材したというだけあって、かなり地に足のついた感じのする 農業系うんちくが満載で楽しみながらなんとなくでも「農業」というものに触れることが 出来る構成になっているというのは十分評価に値するかなと。出てくるキャラクターたちは みなアクの強いアホ揃いですが、こと農業に関することには極めて真面目に取り組んでおり 好感が持てるキャラクターに昇華されていますね。…まあやっぱりアホなんですが。でも良い奴ばかりです。

ヒロインさんたちは…早速始まってる農さんと林檎さんの恋の鞘当てっぷりが 楽しくもあり、恐ろしくもありという感じですかね。農さんも可愛いけど微妙に重いよね(苦笑 林檎さんはまあ、まだ魅力はこれからという感じかな。あとはおっぱいさんのツンデレっぷりとか ベッキー先生の行き遅れ度MAXの変態妄想暴走などはたいへん楽しめました。本当にどこの姫騎(略

1巻は舞台とメイン登場人物紹介的な色合いが強く、物語的にはここからという感じですが この調子で元気の良いキャラクターたちが見られるなら、がっつり継続購読したい所存です。 ただまあ、 この手のパロディネタはどうしても賞味期限が限られてくるので読み始めるならお早めにという感じですかね。 定番を押さえつつとはいえ、そのへんはどうしたってねぇ…。

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■関連情報
タイトル『のうりん (GA文庫)』
作者白鳥士郎/切符
出版社ソフトバンククリエイティブ
発売日2011-08-12
区分一般
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ページ執筆者:東雲あずみ

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Shinonome Azumi(yuunagi@maid.ne.jp)
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ここは東雲さんの崩壊日記改から「かんそーぶん」を切り出したページです。。 18歳以上対象の作品を取り合うことが 多々ありますので、その旨ご理解の上お読みください。
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