やましいゲームの作り方 (ガガガ文庫)』:荒川工/nauribonのかんそーぶん

@ 『やましいゲームの作り方』:荒川工/nauribon(ISBN9784094513844)読了。 ガガガ文庫新刊。不慮の事故で亡くなった アラフォーエロゲシナリオライターが息子の身体を借りてシナリオ執筆!? 実際にエロゲシナリオライターとして活躍されていた作者さんが描くちょっぴり変わったドタバタコメディ(シリアスもあるよ)

  • 俺、直海龍介はアラウンドフォーティー…略してアフォのおっさん。 職業は子供には言えないたぐいのPCゲームのシナリオライター。 大ヒットは無いながらも、コアな人気は獲得しているブランドの顔…そんな位置づけで長年やってきた。 そんな俺だが、数日前から何故かティーンエイジャーとして死んだ自分の葬儀の手配に奔走し、 そしていま、目の前で自分の葬儀が行われている真っ最中だ。 何を言ってるのか分からない? そう、俺にだって何が何だかわからない。 ただ一つ確かなことは、このいまの俺の身体は、俺の息子、忍の身体だということだけだ。 え、何? ああ、さっきから身体を返せと脳内で息子の声が響いてるのだが、 こっちだってどうしていいのかわからんと言ってるじゃないか。 そんなこんなで息子の身体を借りて、やり残した仕事の後片付けや、息子の青春にちょっかい出したりな 俺の新たな日常の始まり始まり…。

かつて作者さんが手がけた「このはチャレンジ」とか大好きだったので、 エロゲ業界モノと聞いては見逃せるわけもなく喜び勇んで購入&読了。 いやもう、楽しかったです。作者さんの持ち味はキャラクター同士の軽妙な会話…掛け合いが生み出す 見事なリズム感、どこまでもちゃらんぽらんで軽いけれど、一本スジは通った展開という認識なのですが そのあたりの要素は本作でもバッチリと表現されていて、まさに望んだものがここにあるという印象ですね。 ライトノベルはだいたいにおいて会話で進むもんだろという意見もあるかもしれませんが、 この独特のリズム感は早々お目にかかれない代物ですよ。

物語は、息子の忍の肉体の主導権を握ってしまった龍介が、やり残した仕事を片付けたり、 ややハードモード気味の息子の学園生活について、父親らしいことをしてみたりという感じですかね。 とはいえ、そんな神妙なものでもなく、龍介さんの性格がかなりダメ人間寄りのちゃらんぽらんのため 全体的にあっかるいお話になっています。仕事にかまけてほっぽいといたりなどなどの理由もあって 息子であり、宿主である忍くんとの折り合いもあまり良くないため、二人の脳内言い争いは絶えませんが これもまた、遅すぎた父親と息子のスキンシップ、互いを知る機会という感じで 微笑ましくみれるものとなっています。

登場する女性キャラは龍介の勤めるエロゲー会社の女性社員ズと、 忍くんの同級生であり、想い人でもある平栗さんらがズラリと登場。 とはいえ、女性社員の皆さんは、それぞれ魅力的な部分は魅せてくれるものの、ヒロイン的な立ち回りではなく あくまでも仕事仲間だったり、憧れの人だったりという立ち位置ですかね。 平栗さんにしても、青春だなーという展開はたっぷり用意されていますが、色々あって色恋には通そうなのが 忍くんガンバレ…という感じで。食育に厳しかったり、「きゃー」だったりな平栗さんはマジ可愛いですけれどね。 でもこう…龍介の方が年齢的にシンクロし易いもので、やっぱりこう娘的な感覚が強くなってなんとも(汗

当然のように業界モノとしてもしっかりとしており、数字面などはまあ話半分としても 最近のエロゲー製作についての概略的な部分は十二分に触れることが出来る内容となっています。

お話としての区切りは一応付けられていますが、元々シリーズ化予定だったのか 一部のキャラクターの設定はかなり積み残された状態で終わります。 そこの部分が多少評価の分かれるところかもしれません。 その分ここからの展開に楽しみが用意されているとも言えるわけですし、続刊を楽しみに待ちたいところです。 ……まあ、何時出るかが問題ではありますが(汗

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■関連情報
タイトル『やましいゲームの作り方 (ガガガ文庫)』
作者荒川工/nauribon
出版社小学館
発売日2012-12-18
区分一般
カテゴリライトノベル
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ページ執筆者:東雲あずみ

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Shinonome Azumi(yuunagi@maid.ne.jp)
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ここは東雲さんの崩壊日記改から「かんそーぶん」を切り出したページです。。 18歳以上対象の作品を取り合うことが 多々ありますので、その旨ご理解の上お読みください。
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