『境界線上のホライゾン1〈上〉―GENESISシリーズ (電撃文庫)』:川上稔/さとやすのかんそーぶん
@ 『境界線上のホライゾンI(上)』:川上稔/さとやす(ISBN9784048672184)。電撃文庫。 2011年10月からのTVアニメ放送も決定しているシリーズの第一巻目。
遙かな未来。再び「天」に昇るため神世の歴史再現を行い始めた世界。 そんな人類に残された大地はかつて神州と呼ばれ、そして今は「極東」と呼ばれる狭い島国だけであった。 そして1648年。かつての歴史が記された歴史再現の指針たる聖譜がその更新を辞めて来年で100年目、 そのとき世界は滅びるのだという「末世」がまことしやかにささやかれる中、 極東唯一の領土である空中戦艦「武蔵」は1年にわたる極東巡回の旅を終えて、 極東の中心である松平家が納める三河へと寄港しようとしていた…。
なんだかんだで私もラノベ読みとしては長いので、 同作者の都市シリーズなども当然昔から存在は知っているものの、 これまで接点が発生せず読んだことはありませんでした。 ですが先日発表されたTVアニメ版の告知PVでやられまして、覚悟を決めて読み始めたという次第。 近作はともかくその異様なほどの厚みで知られる感じですが、この巻についてはまだ540ページ程度と まだ無くはない程度ですね。…いやまあ、感覚的には十分厚いんですけれど。
半ファンタジー半SFに世界史要素と日本史要素をぶっ込んで煮立てて煮詰めたというのが 一番分かりやすい概略な気がします。作中で行われる「歴史再現」というのは 要は、我々の「西暦」の再現であり、作中は「中世」の再現中なわけです。 そして舞台の極東とは我々の知る日本列島です。 しかしとある事件によりこの日本列島に世界地図が上書きされて押し込められた状態というのが キモの一つですかね。 ですので、織田家だの松平家だの三河だの英国だのローマだのオスマントルコだの 日本史と世界史で出てくる地名や人物、宗教などが続々と登場するわけです。
そんな感じで莫大な設定と多数のキャラクターがチャプター毎に登場し、 最初の方は特にですが 設定を口で説明している感がきわめて強い感じです。 しかし、それらの断片的な情報が作中で絡み合い始めると ぐんぐんと引き込まれて始めます。 バラバラだった要素がどんどんと結びついて一つの形を成していくことの快楽というのは 極めて分かりやすいものかと思いますが、それがおもしろさの一つかなと。
まあ、そこに行き着くまでの道程、細かい、よくわからない部分は棚上げしつつ 記憶の片隅に起きながら読み進めるということが出来ない人には相当辛いこと請け合いです。 私に関しては、予想していたよりも遙かに文章が読みやすかったこともあり 特につっかえる感じもなく、すいすいと読み終えられました。厚いんで時間はかかりましたが。 濃すぎるキャラクターたちの軽妙な掛け合い漫才はたいへん楽しく、読みやすさに貢献してくれました。
本巻に関しては基礎設定の解説とすべての始まりてなところで、 お話の内容に関してはともかくは下巻を読まないとなんとも。 とりあえずとっとと購入しておきたいと思います。 キャラ的にはオリオトライ先生が割と好み。あとは賢姉とかかな。 遙かな未来世界でも脈々と受け継がれるエロゲー魂に泣いたとだけ…。
■関連情報 | |
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タイトル | 『境界線上のホライゾン1〈上〉―GENESISシリーズ (電撃文庫)』 |
作者 | 川上稔/さとやす |
出版社 | アスキーメディアワークス |
発売日 | 2008-09-10 |
区分 | 一般 |
カテゴリ | ライトノベル |
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Shinonome Azumi(yuunagi@maid.ne.jp)