月夜のとらつぐみ (ビームコミックス)』:笠井スイのかんそーぶん

@ 『月夜のとらつぐみ』:笠井スイ(ISBN9784047272934)。 「ジゼル・アラン」の笠井スイ初の短編集。 フェローズ誌にて発表されたデビュー作含む短編と個人誌発表の短編を収録。 収録作は 「花の森の魔女さん」、「月夜のとらつぐみ」、「水面の翡翠」、 「仏頂面のバニー」、「遙かファンティエット」、 「Story Teller Story(story:01 ERISA)、(story:02 NANCY)」、「猫とパンケーキ」の全八篇。

「ジゼル・アラン」で新人さんとは思えぬほどの力量を見せつけてくれた 笠井スイ先生初の短編集となります。どの短編もその独自の視点や世界観を垣間見られるものばかりです。 大人たちに魔女と恐れられ敬遠されているおばあさんと子供たちのふれあいを優しく描いた デビュー作「花の森の魔女さん」。 空を駆ける野鳥が木の枝の上で羽を休めるひとときを少女擬人化で表現した「月夜のとらつぐみ」、「水面の翡翠」。笑顔を見せないバニーガールさんをどうにか笑わせようと奔走する男って本当バカというコメディ作品「仏頂面のバニー」。少年のせつない初恋とまだ見ぬ世界への憧れを描いた「遙かファンティエット」。 嘘と真実をキーワードに嘘吐きという奇妙な職業を営む青年と、そこを訪れた人々の物語「Story Teller Story」。 手ずから焼いたパンケーキを人生の楽しみとする壮年の紳士と、そんなパンケーキを盗み食いしにやってきた家なき子の交流を優しく描いた「猫とパンケーキ」など、バラエティに富んだ作品集となっています。

時代設定的なものや舞台設定的なものはボカし気味ですが、おおむね中世から現代まで。 日本っぽい世界だったり、ヨーロッパぽい世界だったりてな感じです。 ややシビアさが強い物語であっても、その背を貫くのは人々の優しさであったり 思いやりであったりと、読んでいてホッと出来る…そういう部分が魅力的ですね。 そんな世界を支えるキャラクターもそれぞれに魅力的な方ばかり。 若い子たちも良いのですが、可愛いおばあちゃんや叔父様が全体的にたまらんですな。 こんな風な素敵な歳の重ねかたが出来ればどんなに良いだろうかと思うことしきりです。

一番気に入ってるのは「仏頂面のバニー」かな。 かなりコメディ色の強いお話ですが、 男性陣の愛すべきバカっぷりがもう…男性なら涙無くては語れない的なアレで。 あとは「Story Teller Story」の2篇。この単行本中ではもっともシビアな物語ですが それだけにより強い印象を残すお話でもあります。

ジゼル・アランが気に入ってる人なら文句なく楽しめる一冊だと思います。 デビュー作含むとはいえ、作画面の満足度は極めて高く、その独自な空間を 十二分に満喫出来るかと。ジゼル・アランではなかなか見られないであろう 現代的、ファンタジー的な薄着の女性陣も多数登場しますので、そのへんのフェチ感も 見所といえましょう:D こころが疲れたときに読めばきっと元気になれます。

(Permalink)



■関連情報
タイトル『月夜のとらつぐみ (ビームコミックス)』
作者笠井スイ
出版社エンターブレイン
発売日2011-05-14
区分一般
カテゴリ漫画
Amazon
アフィリエイト
Amazonで購入


ページ執筆者:東雲あずみ

電子書籍

Shinonome Azumi(yuunagi@maid.ne.jp)
About.
ここは東雲さんの崩壊日記改から「かんそーぶん」を切り出したページです。。 18歳以上対象の作品を取り合うことが 多々ありますので、その旨ご理解の上お読みください。
読書感想
かんそーぶんリスト


電子書籍