2006年02月10日
20060210どくしょかんそーぶん
『かりん増血記 恥じらいダイアリー(1)』:甲斐透/影崎由那4829163399。
富士見ミステリー文庫新刊。
現在TVアニメも放映されている影崎由那原作の同名コミックの
外伝小説シリーズの連作短編集。ドラゴンマガジンにて連載されたものに
書き下ろし短編1本を加えたものです。
従来の『増血記』同様、今回もコミック版で語られてなかった期間のお話ですね。
体育祭も間近に迫ったころ、 供血直後の場面を見てしまったため、かりんの正体に疑いを持った、 隣りのクラスの快活少女・律が現れる。 彼女のカマ掛けに焦りまくるかりんだったが、 律に窮地を幾度か助けられた事で、微妙な友人関係に。 しかしふとしたきっかけから律は健太に恋してしまい、 状況はさらに混乱して…という感じで。
まず最初に。このお話続いてまして、この巻で終わってません。 連作短編集ということで、毎回区切りはあるものの、 ストーリーとしては完全に連続しています。 従来の長編シリーズに比べて、殺伐感が格段に薄く恋話に華が咲きまくってます。 いつもだったら、今回のゲストヒロインである律の家庭環境は 家庭崩壊してたり、親から虐待されてたりしてそうなもんなんですが、 問題自体はあるものの、そういう血生臭い方向ではありません。 当然人も死にませんし、拉致も犯罪も以下略。 このへんが従来の長編ではなく短編集として出した理由なのかな?
明確な恋敵が登場したことでかりんちゃんの複雑な恋心も激しく揺さぶられていて ラブコメ的になかなかに良い感じかと。 ちょっと煮え切らない感が強調されすぎで、もどかしい気もしますけどね。 今回に限らず「増血記」は、コミック版とも極めて深くリンクしたシリーズですので コミック版ファンの方で未読の方は一度読んでみることをオススメします。