RAIL WARS!-日本國有鉄道公安隊-(創芸社クリア文庫)』:豊田巧/バーニア600のかんそーぶん

@ 『RAIL WARS!-日本國有鉄道公安隊-』:豊田巧/バーニア600(ISBN9784881441503)読了。 新ライトノベルレーベル「創芸社クリア文庫」の第一弾ラインナップの1冊。 もし国鉄が民営化されないまま現代に至っていたら…というifの世界を舞台にした 研修生たちの熱い青春の日々を描いた物語。

国有の超優良巨大企業である「國鉄」に就職し、 平穏で安定した人生設計を夢みる、鉄道高校へ通う普通の平凡な高校生、高山直人。 超高倍率の國鉄での学生研修をみごと勝ち取り、 人生設計の第一歩を順調に踏み出したかに見えたが 自分の配属先が荒事を一手に引き受ける國鉄の中で もっとも平穏から遠い鉄道警察組織「鉄道公安隊」だと知り狼狽する。 だが、このチャンスを逃せば「國鉄」就職の芽は摘まれてしまう。 こうして嫌々ながらも1ヶ月の研修に参加した直人を待っていたのは 軍隊さながらのスパルタ教育と、変わり者揃いの仲間との出会いだった 果たして直人は無事研修を終えることが出来るのか。 そして始まる公安隊での日々の中、直人を待つものとは…。 目指せ親方日の丸!! 若者たちの熱い青春鉄道浪はじまりはじまり。

店頭でカバーイラストの女の子と 鉄道車両のコントラストが目を惹いたのでお試し購入。 鉄成分をまるで持たない私にも伝わってくる鉄道愛に溢れたなかなか楽しい作品でした。

物語の舞台となるのは2012年の日本ですが、この世界では國鉄が分割民営化されず そのまま繁栄を続けているというifをベースに構築されています。 現実では赤字垂れ流しの体質を問題視されて分割民営化され、現在のJR各社と なったわけですが、本作の中では分割の危機を乗り越え、 そのまま全国区の巨大企業として発展を続けているわけです。赤字はやっぱり 垂れ流しのようですが(苦笑 國鉄民営化を求める先鋭過激派組織「RJ」とか出てくるのもニヤリとさせられます。

あちこちに鉄道ネタはたっぷりとちりばめられていますが 物語の主軸は、鉄道公安隊に研修生として配属された4人の高校生たちが 繰り広げる事件解決に向けてのドタバタや日常物語です。 まあ、日常というにはややバイオレンス度高すぎですが。 彼らが所属することになる「鉄道公安隊」というのは 実際国鉄時代には存在した司法警察権を有する国鉄職員兼 特別司法警察職員組織なのだそうで。Wikipedia参照(笑) 現実では民営化の段階で消滅した組織ですが、 国鉄がそのまま存続している本作では当然本組織もそのまま いや、寧ろ凶悪化する犯罪や過激派対策でより強化された 存在として登場します。 こんなとこじゃ、そりゃバイオレンスにもなるわなという…。

なにごとも中間程度で平凡な主人公直人を取り巻くのは、 男嫌いの爆発娘、桜井さんや体力バカの巨漢、岩泉。そして 運動神経ゼロのふんわり系お嬢様の小海さん。 そんなデコボコの四人が日々発生する事件を通じて一つのチームとなっていくさまが 丁寧に描かれています。公安隊という組織に対する直人の考え方の 変遷なども見所かなと。働く大人たちの格好良さとか そういう部分が感じ取れれば良いかなとも思う次第。 キャラ的には小海さんがイラストも可愛くて良いのですが メインヒロインの立ち位置はツンデレさんの桜井さんっぽいですね。 カバーイラストもそうですし。終盤じわじわとデレて来る描写は なかなか良いものでした。

鉄ネタの正確性とかそのあたりは正直まったくよくわからないので判断出来ませんが 鉄ネタ周りはわりと地に足がついた感じで素っ頓狂さも無く すっと受け入れられる程度の内容だったかと。 細かいマニアック知識というよりは、ifの世界を基準とした妄想設定的な 印象が強いかなと。どのみちよくは理解出来ないのですが 路線の話や車両の話など楽しげな雰囲気は十分に伝わってきました。

私の世代だとまだギリギリ国鉄時代を知っているので、 なんとなくこのif感というか空気感は伝わってくるんですが 今の若い読者さんにはどうなのかなと思わなくもありませんが、そのへんは 幾ら考えてもしょうがないので以下略。 物語的には一区切りついていますが、シリーズ化もまったく問題無い作りですから 出来れば続編も読んでみたいかなと。 まだまだ公安隊の大人の皆さんとか彫り込むと楽しそうですしね。 鬼教官的ポジションの五能さんの活躍とかもっとみてみたいですから:D

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■関連情報
タイトル『RAIL WARS!-日本國有鉄道公安隊-(創芸社クリア文庫)』
作者豊田巧/バーニア600
出版社創芸社
発売日2012-01
区分一般
カテゴリライトノベル
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ページ執筆者:東雲あずみ

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ここは東雲さんの崩壊日記改から「かんそーぶん」を切り出したページです。。 18歳以上対象の作品を取り合うことが 多々ありますので、その旨ご理解の上お読みください。
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